ディスカッション 論点(3) 国が主導する大きなトレンドに対して眼の健康を延伸する仕組みはどう創出する?
講演:次世代ヘルスケア産業協議会の取り組み(健康寿命延伸分野の市場創出及び産業の育成) 経済産業省 商務情報政策局ヘルスケア産業課課長補佐(※オブザーバー参加)
我が国の現状と政策の方向性
少子高齢化が進行する中、国民医療費と介護保険給付は毎年増大しており、2012年度には39兆円を突破し、2025年度には約60兆円に達する見込み。介護保険も現在の10.1兆円から2025年には21兆円程度に上昇することが見込まれています。
また、国民医療費の約1/3(9.8兆円)は生活習慣関連病によるものですが、これを公的保険外のサービスを活用した予防・健康管理にシフトさせる方向に推進されています。
これが具体化することによって、「国民の健康増進」、「医療費の適正化」、「新産業の創出」を同時に実現する計画です。また、新産業の創出によって、地域の「経済活性化と医療費適正化」に繋げることも目指しています。
次世代ヘルスケア産業協議会
医療に関わる有識者および関係省庁によって発足された「次世代ヘルスケア産業協議会」は、「日本の再興戦略」に基づいて、平成25年12月に「健康・医療戦略推進本部」の下に設置し、「ヘルスケア産業の育成等に関する課題と解決策」を検討しています。
需要面の対策(健康投資ワーキンググループの検討内容)
健康経営とは、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること、健康投資とは、健康経営の考え方に基づいた具体的な取り組みのこと。これらを踏まえて、企業が従業員の活力向上や生産性の向上等の組織活性化をもたらし、結果的に業績向上や組織としての価値向上へ繋がることが期待されます。
介護分野・地方創生の分野においても、地域資源等の活用による地域ヘルスケア産業創出されることによって活性化が期待されます。
供給面の対策(新事業創出ワーキンググループの検討内容)
今後、財政制約や人口流出等が顕在化する中で、地域において、公的保険外の予防・健康管理サービスを成長させていくことが重要になります。このため、医療・介護供給体制の根幹である「地域包括ケアシステム」と連携しつつ、ヘルスケアビジネスが担うことのできる範囲を明確化し、効率化を図っていきます。
また、人々の健康に対するニーズを満たす事が可能な「地域の資源(農業・観光等)を活用」し、「インバウンド」と「アウトバウンド」の観点を踏まえ、新たなビジネスとして磨き上げていきます。
このような行政の大きな動きも踏まえたうえで、私たちメガネスーパーは、健康寿命・健康経営をキーワードとした新しい仕組みの創出に力を注いでいきます。
期待成果に対する提言と次回に向けての課題
期待成果(1)「啓発」:生活者の啓発を促進するための、質的・量的な情報配信の強化
議論に上がったコメント
- 老眼、眼の疾病に対する認知は低いが、悩みや恐れを持つ生活者は多い
- 生活者における老眼やエイジングのマイナスイメージにより、対策や処置が遅れがち
- 高齢化による医療費負担増大や、パソコンやスマホの多用による老眼の若年化が課題
- 生涯にわたり単焦点レンズの生活者多く、進化した累進レンズは浸透が進んでいない
- 高精度の累進レンズほど、高技術な検査やフィッティング等、小売側のバリューが必要
- 医療機関から生活者への、累進レンズやUVカット、ブルーカット等の情報提供がない
提言⇒生活者の利益になる情報提供や、医療機関と小売の連携を検討すべき
期待成果(2)「商品サービスのあり方」:「サプライ側の課題の抽出」と「解決の方向性」
議論に上がったコメント
- 業態分断やプロダクトアウトにより生活者に適切な商品やサービス、情報が届かない
- 生活者のマインドや行動を捉えた、ワンストップビジネスが必要
- 医療行為は医療機関のもの、小売・サービスが提供できるのは「気付き」の部分
- 未病の領域はエビデンスが重要
- エイジングをプラスイメージに転換する商品・サービスづくりが必要
- 未病や老化抑制にかかわる商品・サービスは、良さが体感できるのがポイント
- 定期来店により検査や健康情報の提供等を行う「かかり付け的」なテイクケアビジネスが必要
提言⇒医療機関や異業種コラボで有機的なワンストップを構築できるか
期待成果(3)「健康寿命・健康経営のあり方」:行政の動きを踏まえた、生活者が目の健康を 延伸するための仕組みの創出
議論に上がったコメント
- 健康な人がエイジングや生活習慣で病気になるエビデンスが予防や早期治療を可能に
- ヘルスケア産業育成や地域包括ケアシステムの推進などのトレンドにも着目
- 健康経営・健康投資へのサポートにも期待?
提言⇒行政の戦略や方針といかにリンクし、活性化させるか
次回への課題
生活者のマインド・行動に関するデータや成功・失敗事例を集め、 現状の課題や今後の方向性、個々のアイデアについて検証する