眼科専門医が教える。紫外線対策にサングラスは必要? 目への影響とその防ぎ方|眼鏡(めがね)、コンタクトレンズ、補聴器販売のメガネスーパー

眼科専門医が教える。紫外線対策にサングラスは必要? 目への影響とその防ぎ方

眼科専門医が教える。紫外線対策にサングラスは必要?目への影響とその防ぎ方

長時間、屋外に出るときは紫外線に備え、サングラスを着用する人が増えていると言います。新しいサングラスを買いに出かけて、「あ、色の濃いレンズを買えばいいのかな。どう選ぶべきかな」と迷ったり、また、目を守るはずのサングラスが、実は目に悪い影響を与える可能性があるということも耳にしました。
そこで、眼科専門医でみさき眼科クリニックの院長・石岡みさき先生に、サングラスに関する疑問や、正しい選び方について尋ねてみました。

サングラス

紫外線カットの性能と「レンズの色」は関係がない

――紫外線は目に悪いと思い込んでいるのですが、実際はどうなのでしょうか?

石岡先生 もともと、目には紫外線を防ぐ力が備わっています。
ですので、例えば通勤時間など日常生活で多少の紫外線を浴びる分には、目の機能には問題ありません。ただ、長時間、強い紫外線を浴びると、白内障や黄斑変性(おうはんへんせい)症という、視界がゆがんだり目が見えなくなったりする病気を引き起こす可能性があります。また、角膜炎(かくまくえん)になるリスクもあります。
それらを防ぐために、スポーツ時や登山や海水浴などアウトドアでのレジャー、畑仕事など、日中の大半を強い紫外線の中で過ごすときには、サングラスを着用することをお勧めします。

――「紫外線カットを目的としたサングラス」を選ぶポイントを教えてください。

石岡先生 色が濃いレンズの方が紫外線をカットできると勘違いすることが多いようですが、色と紫外線カットの性能は関係がありません。

紫外線カットのサングラスには、「紫外線透過率」が数字で表示されています。これはそのレンズがどれだけ紫外線を透過するかを示す数字なので、低いほどレンズの性能が優れているということになります。
例えば、「紫外線透過率1.0%以下」という表示のレンズは、紫外線を99%以上カットすることができると言われます。

「紫外線カット率」と表記しているサングラスもありますが、その場合は数値が高い方が性能の良いレンズということになります。
性能が良くなるほど、金額は高くなる傾向にあるようですが、どのくらいの時間、屋外で紫外線を浴びる可能性があるのかによって選ぶ数値を考慮するとよいでしょう。
ライフスタイルによって違ってきますので、メガネショップで使用する目的や予算を伝え、相談してください。
その際、サンプルを実際に外でかざして、見え方や付け心地を確認してみるといいでしょう。

色の濃いサングラスをかけるときは、必ず「紫外線カット」のレンズを

――紫外線対策用のサングラスを使用するときの注意点はありますか?

石岡先生 当然ですが、紫外線を透過させない機能のあるレンズを選んでください。
その機能がないのに濃い色のレンズのサングラスを使用すると、目に悪い影響を与える可能性があります。

なぜなら、目は、暗いところでは瞳孔(どうこう。目の中心にある、光を通す領域)が開き、より多くの光を取り込むようにできています。

一方、明るいところでは瞳孔は小さくなり、光を取り込む量を減らすという調節をしています。
ですから、紫外線カット機能のない濃い色のレンズで強い光を多く浴びると、瞳孔が開いた状態になって多くの紫外線を目に取り込んでしまいます。

ファッションのためや顔に傷があるから隠したいという理由で、色の濃いメガネを使用する場合は、長時間紫外線を浴びることは避けてください。
紫外線カットを目的に性能の良いサングラスを買いたい場合は、雑貨店ではなくメガネショップに行き、仕事のご経験が豊かそうなメガネ検査員に相談して買われることをお勧めします。

――サングラスを常用して、紫外線をまったく見ないようにすると、目の働きが衰えるということを耳にしました。

石岡先生 確かに、体は紫外線を浴びることで、免疫力を向上させるビタミンDを作り出す効果などもあります。
しかし、目においては紫外線が良い影響をもたらすことはありません。
目の保護のために、サングラスを役立ててください。

――紫外線カットのサングラスを選ぶときには、レンズの色ではなく「紫外線透過率」などの性能をしっかり確認するようにします。ありがとうございました。

強い紫外線を長時間浴びるときにはサングラスは必要ですが、紫外線カット機能のない、色の濃いサングラスは目を痛めてしまうとのこと。正しい知識を持ち、用途と紫外線透過率をチェックした上で、適切なサングラスを選びたいものです。

石岡みさき氏

取材協力・監修:石岡みさき氏

みさき眼科クリニック院長。

横浜市立大学医学部卒。

平成5年よりアメリカ・ハーバード大学に留学、眼の免疫の研究に従事。

帰国後、東京歯科大学市川総合病院にて角膜・前眼部疾患について学ぶ。

平成10年両国眼科クリニック院長。

平成20年、生まれ育った渋谷区代々木上原にて「みさき眼科クリニック」を開業。

専門はドライアイ、眼のアレルギー。

http://www.misaki-eye.com/

取材・文 尾越 まり恵×ユンブル