眼の健康寿命を、延ばす。

アイケア研究所レポート VOL.1

2015年5月7日発行

特集2:見落としがちな眼の紫外線対策

日焼け止めクリームを塗ったり、紫外線カットの上着や手袋を身に付けたりと、肌の紫外線対策には余念のない人も、意外に見落としがちなのが眼の紫外線対策です。

意外と知られていない、紫外線の眼への影響

意外と知られていない、紫外線の眼への影響日焼け止めクリームを塗ったり、紫外線カットの上着や手袋を身に付けたりと、肌の紫外線対策には余念のない人も、意外に見落としがちなのが眼の紫外線対策です。とくに日常紫外線や生活紫外線と呼ばれるUV-A(400-315nm)は、可視光線に近い長い波長のもので、眼や肌に大きな影響を与えることがわかっています。このUV-Aは曇りであっても地表まで届きやすく、眼や肌の奥まで入り込んでくるからです。眼に入ってきたUV-Aの大半は、角膜で吸収されますが、角膜を通過した紫外線のほとんどは水晶体で吸収されます。残りの1~2%が水晶体を通過して網膜まで到達します。このようにして紫外線に曝露した眼は老化が進み、視力低下につながるばかりか、さまざまな疾患を発症する危険にさらされています。

紫外線が原因と考えられる眼の疾患

紫外線角膜炎

紫外線が原因と考えられる眼の疾患強い紫外線が角膜に熱傷を起こして発症する急性の角膜炎。結膜(白目)の充血や異物感、流涙、視力低下、頭痛といった症状が見られ、ひどくなると強い眼痛を起こすこともあります。雪山や海などで長時間反射した紫外線を浴びたときに角膜が炎症を起こす雪眼炎(雪目)も、この紫外線角膜炎の一種で、スキーやスノーボードをする人にも多く見られます。昼間に紫外線に曝露した場合、夜から深夜あるいは翌朝にかけて発症し、大抵は24~48時間以内で自然治癒します。

翼状片

白目の表面を覆っている半透明の膜である結膜が、目頭(めがしら)の方から黒目に侵入してくる繊維状の増殖組織です。悪性の組織ではないため、症状がなければ放置していても構わないのですが、充血や異物感がある場合は点眼などの治療を行います。しかし、翼状片が瞳孔近くまで侵入してきた場合は視力障害をきたすため、手術を行う場合もあります。通常は30代以降に発症し、高齢者に多く見られます。また、戸外での活動時間が長い人に多く、紫外線がその発症に関係すると考えられています。

白内障

白内障とは、眼球の水晶体が濁って視力が低下し、ひどくなると失明に至ることもある疾患です。白内障には80以上のタイプがありますが、なかでも日本人に多く見られる皮質白内障は、紫外線の曝露と関係があるといわれます。WHO(世界保健機構)は「白内障の約20%の原因は紫外線」と報告しており、紫外線の多い地域に白内障患者が多いことも事実です。進行した場合は、混濁した水晶体を眼内レンズと交換する手術を行います。

加齢性黄斑変性症

加齢性黄斑変性症とは、モノを見るときに重要なはたらきをする黄斑という組織が、加齢とともにダメージを受けて変化し、視力の低下を引き起こす疾患のことですが、こちらも長期間に渡って紫外線を眼に浴びた人に発症することが多いようです。欧米では、成人の失明原因第1位の眼の疾患で、日本では比較的少ないと考えられていましたが、生活の欧米化などによって日本人にも増えてきたといいます。

子どもの紫外線対策が、大人よりも重要といわれる理由

子供の紫外線対策が、大人よりも重要といわれる理由WHO(世界保健機構)は、子どもの紫外線対策の重要性を強く訴えています。 それには、下記のような理由があるからだといいます。

  1. 子供時代は細胞分裂も激しく、成長が盛んな時期であり、 大人よりも環境に対して敏感である
  2. 子供時代(18歳未満)の日焼けは後年の皮膚がんや 眼のダメージ(とくに白内障)発症のリスクを高める
  3. 生涯に浴びる紫外線量の大半は18歳までに浴びる
  4. 紫外線曝露は、免疫系の機能低下を引き起こす
  5. 子供たちは室外で過ごす時間が多いため、太陽光を浴びる機会が多い
    また背が低いため、地面からの照り返しの影響も受けやすい

子供の紫外線対策が、大人よりも重要といわれる理由「子どもは太陽を浴びて遊びまわるのが健康に良い」とされていたのは遠い昔のことで、現代では「紫外線は有害なもの」「日焼けはお肌に悪影響を及ぼすもの」として広く認知されるようになってきました。わが国の母子手帳からも「日光浴」の表現が「外気浴」に変わり、環境省からは、2002年に「紫外線保健指導マニュアル」なるものが発行されています。また、2005年には、気象庁よりUVインデックスに基づいて、紫外線情報が伝えられるようになっています。

それでも、子どもたちが外出する機会、そして、紫外線にさらされる機会は、通常、大人よりもずっと多いのが現状です。また、スポーツやレジャー、友達との遊びなど、外出することは、子どもたちが成長する過程で大切な経験ができる機会でもあります。大切な子どもの未来をサポートするために、子どもたちにも紫外線対策の大切さを知ってもらい、UVカットの衣服や帽子などはもとより、UVカットのメガネやコンタクトレンズを使用させることが大切です。

眼からの紫外線が肌を黒くする

眼からの紫外線が肌を黒くするUVカット効果のある上着や日傘、長手袋、日焼止めクリームと、万全の紫外線対策をしたつもりでも、眼の紫外線対策を怠っていると、眼はもとより肌まで黒く日焼けしてしまうといいます。

眼に紫外線が入ると、角膜が炎症を起こします。そして、そのダメージはストレスとして脳に伝達され、脳はストレスホルモンを分泌します。そこで脳は、紫外線をブロックするメラニンの必要を感じ、全身の皮膚にメラニンを生成するよう指令を出してしまうというわけです。眼の紫外線対策は、眼を守るだけでなく、美しく健康な肌を守ることにもつながっているといえます。美容に関心の高い方にとっても、UVカットのサングラスやメガネ、コンタクトレンズを使用することで紫外線から眼を守ることは必須といえます。

日本人は、眼に紫外線のダメージを受けやすい

最近の研究によると、日本人を含むアジア系の人の眼は、欧米人の約1.66倍も多く紫外線を浴びているそうです。そして、その原因となっているのが、日本人の顔の骨格だといいます。確かに右の写真を見ても、欧米人は顔のホリが深く、眼の部分がくぼんでいるため、その分、紫外線を直接受けにくいとか。右の写真からもわかるように、日本人は、欧米人に比べてホリが浅いため、さまざまな角度からの紫外線を直接、眼に受けやすくなっているのです。

眼の紫外線対策でUVから眼を守る

紫外線から眼を守るグッズ

メガネやサングラス選びのポイント

メガネはUVカット効果のあるもので、サングラス着脱式のものも登場。

メガネはUVカット効果のあるもので、サングラス着脱式のものも登場。

UVカットを施したメガネやサングラスは、日差しのまぶしさだけでなく、紫外線を防いでくれるので、とくに紫外線が強い季節はとても便利です。サングラスには、UVカットとそうでないものがあるので、購入する際はチェックが必要です。UVカットのサングラスには、通常、「紫外線透過率」が表示されています。これは、そのレンズがどれだけ紫外線を透過するかを示すものです。例えば、「紫外線透過率1.0%以下」という表示のレンズは、紫外線を99%以上カットすることができることを示しています。「紫外線カット率」を表記しているサングラスもありますが、その場合は数値が高い方が性能の良いレンズということになります。レンズは性能が良くなるほど高価になる傾向がありますが、必ずしも高いUVカット率が必要とは限りません。屋外で活動する時間帯や長さなどを考慮してレンズを選ぶと良いでしょう。

また、色が濃いサングラスを選ぶ際は、UVカットがしっかり施されたレンズのものをおすすめします。また、サングラスは正面からの紫外線には有効でも、上下左右のすき間からの紫外線を防ぐことができません。そのため、眼がしっかり覆われるようにフィットする、カーブの付いたサングラスが、とくに紫外線対策には最適です。また、最近では、レンズの裏面の紫外線反射を抑えた両面UVカット加工レンズも見られます。老眼用の累進メガネでも、UVカット効果に加えて、まぶしさや反射を防いで見やすさを追求した高機能のものが注目されています。メガネも用途やライフスタイルなどに合わせて自分に合うものを選ぶことができます。

コンタクトレンズ選びのポイント

最近ではUVカットを施したコンタクトレンズも増えてきています。サングラスと異なる点は、レンズが眼にぴったりフィットするため、レンズに触れている部分の紫外線対策はさらに期待できると考えられます。一方、レンズがカバーしていない部分はまったくUVカットできていないということになります。そのため、外出時はサングラスや日傘、帽子などと併用するのが効果的といえるでしょう。

コンタクトレンズも年々技術革新が進み、紫外線B波カット率99%、紫外線B波カット率A波96%カットといった高い性能のものが購入できるようになりました。2週間タイプや1DAYタイプの使い捨てタイプのものは、うるおい感もあり、裸眼に近い快適さで使用できます。ただ、コンタクトレンズも高性能・高機能のもの、1DAYの使い捨てタイプなどはコストも相応にかかるので、こちらも用途やライフスタイル、予算などに応じて、自分に合うものを選ぶことをおすすめします。そして、コンタクトレンズは便利な反面、メガネやサングラスと異なり、眼球に直接フィットする分、眼への負担が大きくなります。洗眼で清潔さを保つことや、点眼でうるおいを常に与えるなど、眼そのもののケアもますます大切になります。

これからの春から夏にかけては、年間でもいちばん、紫外線が強くなるシーズンです。正しい知識を身に付け、さまざまな情報の中から自分に合ったサングラスやメガネ、コンタクトレンズなどを選択し、老眼や眼の病気を防ぎながら、快適な眼環境を作りましょう。



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アイケア研究所とは

株式会社メガネスーパー(本社:東京都中央区日本橋、代表取締役社長:星﨑尚彦、以下メガネスーパー)は、 「眼の健康寿命を延ばす」を目的としたアイケアサービスの拡充を図るべく「アイケア研究所」を発足しました。

これは、核となるミドル・シニアを中心とした約600万人の顧客と、医療従事者、そして、多様な商品・サービスを提供する取引先をネットワークし、最先端アイケアの提供を目指すアイケアカンパニー・メガネスーパーの新しい取り組みのひとつです。

この「アイケア研究所レポート」では、毎月、注目度の高いテーマを取り上げ、みなさまに役立つアイケア情報をお伝えしていきたいと考えております。