眼の健康寿命を、延ばす。

アイケア研究所レポート 特別号

2016年10月17日発行

アイケアフォーラム「眼から元気にプロジェクト」レポート

第一部:講演「毎日の生活から学ぶアイケアの重要性と対策」 アイケアフォーラム第一部では、北里大学北里研究所病院眼科部長 川北哲也先生より、ある家族をドラマ仕立てのビデオで紹介しながら「毎日の生活から学ぶア […]

第一部:講演「毎日の生活から学ぶアイケアの重要性と対策」

アイケアフォーラム 「眼から元気にプロジェクト」レポート

アイケアフォーラム第一部では、北里大学北里研究所病院眼科部長 川北哲也先生より、ある家族をドラマ仕立てのビデオで紹介しながら「毎日の生活から学ぶアイケアの重要性と対策」について講演を行っていただきました。

「眼加良(めから)家の“視”生活(しせいかつ)」というタイトルで、40代のお父さん、お母さん、高1の息子、おじいちゃん、各々の年代や生活習慣における眼のシグナルと対応策を紹介。ふだんの生活の中で見逃しがちな眼の症状や具体的なアイケアを学ぶ機会になりました。

「ある家族の生活」から学ぶ眼のシグナルとアイケア

シグナル1:お母さんの「アイメイク残し」

お母さんが朝起きて、鏡を見ると、昨日のマスカラやアイラインなどのアイメイクが眼の周りに黒ずんで残っているのが見られます。これは眼のシグナルの1つです。

皮膚と粘膜の移行部である油の分泌線(マイボーム腺)がありますが、その開口部が残ったメイクで詰まっていたり、汚れで異常を起こしたり する症状がよく見られます。ファンデーションが涙に浮いていることもよくあります。また、まつげの生え際に“フケ”が見られる人もあります。日本では、眼のふちにフケが見られる10人にひとりは“ダニ”がいます。人から感染するのはもちろん、犬から感染することもあります。まつ毛に付着すると炎症も起こしやすくなります。

しかし 「アイシャンプー」などの専用化粧品を使って十分にアイメイクを落とすと、ドライアイの自覚症状やマイボーム腺閉塞が改善したことが認められています。

アイメイク残しによる眼の症状

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アイシャンプーで洗う
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アイシャンプーで、アイメイクを十分落とすと、自覚症状の改善だけでなく、マイボーム腺閉塞の所見においても改善効果が認められ ました。

シグナル2:お父さんは「眼の酷使による不調」

職場では、短期決算で忙しいお父さん。2時間、3時間とパソコン作業に集中して眼を酷使しがちです。気が付くと、眼がしょぼしょぼして、視界がぼやけてしまいます。眉間にシワを寄せ、辛そうな表情です。これも眼のシグナルです。また、もうひとつ異変が…。ふと部下の方を見ると、パソコンの画面は見えていたのに部下の顔がぼやけ、ピントが合いません。

眉間のシワの原因は、疲れで眼が重くなっているためで、度数の合っていないメガネやコンタクトを使っている可能性があります。また、近くのパソコンから少し遠くに視線を移行するとピントが合わないのは、眼の酷使によるもの。こちらも度が合わないメガネやコンタクトレンズを使っている場合が多く見られます。では、正しいメガネを選ぶにはどうしたら良いか。視力検査でもっともよく見えるレンズの度数が最善というわけ ではありません。

自分がどこを見たいか、疲れないかを確認する必要があります。働き方や用途に応じて、見たい距離に合わせたレンズを選ぶことが大事なのです。メガネを選ぶときには、メガネのためし掛けをしてみましょう。10分程 度はかけて、本当にその距離が合っているか試すことを お勧めします。

また、眼の検査は、年1回は受けましょう。とくに40歳以上では有病率が上がってきます。緑内障、白内障、黄斑変性症、糖尿病、網膜出血などは、加齢によって起こる可能性が高くなります。国内で40歳以上を対象に眼底検査を行うと、うち2〜30%の方は緑内障検査を勧められるといわれます。

仕事や用途に合ったメガネレンズ選び

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シグナル3:お父さんは「ドライアイ」の症状も

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お父さんに、もうひとつ異変が…。パソコンに向かっている間、瞬きの回数が極端に少なくなっているのです。視線を一点に集中しているときは、リラックスしているときの1/3くらいになるという調査結果も出ています。そして、眼が疲れる、ピントが合わない、眼がかすむ、眼の奥が痛い、ショボショボするというドライアイの症状が現れてきました。また、朝起きてすぐ、すんなり眼を開くことができなかったり、視界がぼやけるという症状もあります。

瞬きの回数が減ると、涙液が不足し、眼の表面が乾いてしまうのが、ドライアイです。眼の不快感だけにとどまらず、時には視力が低下して しまうこともあるほか、肩こりや頭痛、吐き気、イライラするなど身体全体の変調につながることも珍しくありません。パソコン作業で集中している時などは瞬きの回数が減少しがちなので、意識的に瞬きをすることが大切。

また、眼に乾きを感じたら目薬を注すのも効果的です。涙の 安定性は、朝と夜、仕事をする前と後でも違ってくるので、そういった時にアイケアを行うことが大切です。オフィスワーカーの65%は、ドライアイまたはドライアイの疑いがあるという調査結果が出ています。また、ドライアイが労働生産性を下げるという点では、日本人1人当たりの平均勤務時間に換算すると、約3日間/年欠勤と同等という研究結果が出ています。ドライアイは、仕事の効率にも大きく関わっています。

シグナル4:高1の息子は「近視」や「スマホ老眼」予備軍?

高1の息子は、まさにイマドキの高校生。今やすっかりスマホ中心の生活です。スマホのアラームで目覚め、起きたらすぐスマホをいじっています。どうやら昨夜はスマホをしながら眠ってしまったようです。

昨年、イギリスの科学雑誌「Nature」で、アジアで若年層の「近視」が増えているという総説が掲載され、話題になりました。日本でも子どもの近視が増えており、高校生の近視率は65%にのぼっています。近視の子どもがなぜ増えているのか。その理由については、まだ明確な答えは出ていませんが、1日2時間程度遊ぶ子供とそうでない子供、近視の進行が変わってくるということが報告されています。シンガポールでは、政府の取り組みとして、近視を予防策として子どもが外で遊ぶことを推奨しています。

また、今、話題となっている「スマホ老眼」。近くがぼやけたり、見づらくなる老眼に似た症状から、そう呼ばれます。しかし、老眼は加齢によって調節力が低下し、近くのものが見づらくなる症状のこと。それに対して、スマホ老眼は、疲労によって眼のピントを調節する筋肉が固まり、調節力が一時的に低下する状態をいいます。スマホの画面を近くから長時間凝視することが原因といわれており、若い層にも見られるこ とから問題視されるようになりました。

真っ暗な場所で画面を見ない、正しい姿勢・適切な距離で画面を見る、1時間のうち10分間は休憩する、長時間続けて使用しない、眼が疲れない輝度(明るさ)に調節するなど、スマホはもちろん、パソコンとの付き合い方も見直しましょう。また、夜、スマホやパソコンから発生するブルーライトを浴びると、体内時計を調節するホルモン「メラトニン」に悪い影響を及ぼすといわれます。これは画面のブルーライトを調節したり、ブルーライトカットのメガネで眼を守ることができます。

シグナル5:おじいちゃんは「眩しさ」が苦手

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おじいちゃんは、朝、部屋に射し込む明るい太陽光が苦手です。眩しいだけでなく、最近は視界がすりガラスを通したように白く霞んで見えることも。お母さんからはアイマッサージを勧められています。

眩しさや視界が白く霞んで見えるのは、白内障かもしれません。白内障とは、眼の水晶体というところが濁ってしまう眼の疾病です。進行すると眩しいだけではなく、視力低下や失明の原因となることもあります。白内障は通常、50代頃から進行し、その症状には程度がありますが、 80代になるとほぼ100%の方に症状が出ます。とくに40代からは、年1回は必ず眼の検査を受け、早期発見を心がけましょう。

野菜やフルーツなどを積極的に摂り、不足しがちな栄養素は、眼への効果が実証されているアスタキサンチンや抗酸化力のあるサプリメントなどで栄養を補うのもおすすめ。マッサージで眼の筋肉をほぐすのも良いでしょう。

シグナル6:おじいちゃんは「視界のゆがみ」も気になる

アイケアフォーラム 「眼から元気にプロジェクト」レポート

最近は眩しさだけでなく、近所を散歩していると、視界の中央がゆがんで見えるというおじいちゃん。たとえば、新聞を読もうにも読みたい場所の文字がゆがんで見えるなどという症状があれば、それもひとつの眼のシグナルです。

これは「加齢⻩斑変性症」というモノを見る中心部、網膜の変性症と考えられます。アメリカでは失明原因の第一位。日本でもどんどん増えてきています。これは、網膜を栄養している脈絡膜から伸びる、良くない新しい血管によって起こる症状のこと。この血管ができると網膜が出血を起こすなど障害が起こり、視力が低下してしまうのです。視界の中心がゆがむ、かすむなどの症状は、加齢黄斑変性症のシグナルである可能性が高いと考えられます。これくらいならまだ大丈夫などと思わず、軽い症状であっても早めに眼科専門医を受診することが大切です。

シグナル7:お父さんの「メタボ型生活習慣」は眼にも悪影響

深夜にお酒を飲んで帰宅し、カップ麺を食べ、着替えもせずにソファで横になるお父さん。このようなメタボ型の生活習慣は、身体にはもちろん、眼にも悪影響を及ぼします。

眼のケアを考える人はまだ少ないようですが、全身のケアを考えている人は多いと思います。でも、糖尿病による網膜症で失明するケースがあるように、眼のケアは全身のケアと繋がる部分も非常に多いのです。

また、「眼はエイジングのゲートキーパー」といわれています。40歳を過ぎて、老眼の症状を感じ始めたら、生活習慣を見直す機会と考えると良いでしょう。アンチエイジングは、食習慣、適度な運動、睡眠のコントロール、血糖や血圧のコントロール、ストレスのマネジメント、病気の早期発見にも関わってきます。自分の家系がどのような病気に罹る傾向があるかを知っておくことも重要です。

食生活については、野菜の栄養価は、ビタミンやミネラルなどここ50年で大きく減少していることもあり、不足しがちな栄養素をサプリメントで補うのも良いでしょう。サプリを選ぶときに大切なのは成分の内容と、成分の含有量。エビデンスのある成分か、自分に合った成分か、吸収しやすい成分か、つなぎの成分が多く含まれていないかまで、しっかり確認した上で選んでいただきたいものです。また、栄養を摂るばかりでなく、カロリーを抑えることも忘れてはなりません。メタボリックシンドロームといわれる方は、涙の分泌量が少なく、ドライアイなどの眼のダメージを受けやすくなります。眼の不快感は、眼の疾病のみならず、全身からのサインかもしれません。

眼のシグナル1〜7と対策のまとめ

  • シグナル1:メイク残しがドライアイや眼の周りの炎症、フケの原因に… ⇒<対策>アイシャンプーなどでアイメイクを十分落とし、眼のトラブルを予防しよう!
  • シグナル2:⻑時間のパソコン作業で眼がショボショボ、視界がぼやける…  ⇒<対策>年1回は眼の検査を。視距離に合ったメガネを選んで、眼の負担を軽減しよう!
  • シグナル3:パソコン使用時、瞬きの回数が極端に減り、ドライアイの症状に… ⇒<対策>意識的に瞬きをする。渇きを感じたら、目薬を注すのも効果的!
  • シグナル4:朝起きてから夜寝るまでスマホ。暗い部屋の中、ベッドの中でも手離せない。 ⇒<対策>⻑時間の連続使用は避ける、暗い場所で使用しない、見る距離や姿勢に配慮する、スマホを眼が疲れない輝度に調整する、ブルーライトカット対策を行うなど「スマホ老眼対策」を!子どもには、「近視対策」して外で遊ぶ時間を作ることにも配慮しよう!
  • シグナル5:シニア世代の「眩しさ」や「視界が白く霞む」現象は、白内障の兆候…? ⇒<対策>眼の検査で早期発見を。進行を遅らせるには、野菜や果物、アスタキサンチンや抗酸化作用のあるサプリメントなどで眼に有効な栄養素を補給しよう!
  • シグナル6:シニア世代の「視界の中央がゆがむ」現象は、加齢⻩斑変性症の兆候…?  ⇒<対策>眼の検査で早期発見を。 進行を遅らせるには、加齢黄斑変性症への効果実証のあるサプリメント (ルテイン、ビタミンA、C、E、亜鉛)がおすすめ!
  • シグナル7:深夜まで飲酒して、帰宅後はインスタントラーメン…とメタボ型生活まっしぐら…  ⇒<対策>メタボと眼の健康は、密接なつながり。老眼(40代〜)を感じたら生活習慣の見直しを。バランスの取れた食事や眼と全身のアンチエイジングのためのサプリメント補給、睡眠のコントロール、適度な運動、ストレス管理、病気の早期発見などを大切に!

北里大学北里研究所病院眼科部長

金沢大学医学部(1995年卒業)、名古屋大学大学院(2000年修了) 日本眼科学会眼科専門医・指導医、日本抗加齢医学会専門医、身体障害者福祉法指定医、慶應義塾大学医学部眼科非常勤 講師、東京⻭科大学市川総合病院眼科非常勤講師、日本抗加齢医学会評議員、医学博士

第二部: 「眼のお悩み・疑問に関するパネルディスカッション」

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アイケア研究所とは

株式会社メガネスーパー(本社:東京都中央区日本橋、代表取締役社長:星﨑尚彦、以下メガネスーパー)は、 「眼の健康寿命を延ばす」を目的としたアイケアサービスの拡充を図るべく「アイケア研究所」を発足しました。

これは、核となるミドル・シニアを中心とした約600万人の顧客と、医療従事者、そして、多様な商品・サービスを提供する取引先をネットワークし、最先端アイケアの提供を目指すアイケアカンパニー・メガネスーパーの新しい取り組みのひとつです。

この「アイケア研究所レポート」では、毎月、注目度の高いテーマを取り上げ、みなさまに役立つアイケア情報をお伝えしていきたいと考えております。