特別講演:「健康経営への取り組み」株式会社フジクラ
会社を休むほどではない社員の不調が、実は大きな損失になっている。 社員の健康は重要な経営資源のひとつです。
講演者
株式会社フジクラ 人事部・総務部 健康経営推進室 浅野健一郎さん
株式会社フジクラは、中期計画プロジェクトの一環として“企業の競争力はそこで働く社員の良好な健康状態が基盤となる”という理念のもと、2010年より「健康経営」に取り組んでいる企業。今回は、同社の健康経営のシステム作りと運営に取り組んできた浅野さんにお話をうかがいました。
社員の不調が企業に与える損失
なぜ社員の健康がそれほど大切なのか。例えば、花粉症に罹っている社員が一人いると、欠勤はしないまでも、頻繁に席を外したり集中力が落ちたりと、その時期になると必ず何パーセントか生産性が落ちます。
また、うつ病になると、個人だけでなく組織や上司なども巻き込み、さらに大きな影響を与えます。このような心身の不調による生産性の低下は「プレゼンティーズム」と呼ばれますが、累積コストで見ると意外に大きな損失を生んでいることに気付かされます。
企業としては、そのような人が発生するのを1人でも抑えることが、実は非常に大きなコストダウンにつながるのです。
個人と職場、両方へのアプローチが必要
このように体と心の両面の健康が重要であることに着目し、当グループでは社員の健康データの一元管理を行い、詳細に分析しています。
例えば「リスク者分析」では、健康データから疾病のリスクが高い社員を拾い上げ、受診勧奨などを行います。
また、職場単位でも多様な面から分析を実施。例えば、他部署に比べて活性化低下がみられる部署を分析すると、身体活動量の低下がみられるケースがあります。
その場合は、データに基づいて体を動かす機会を作ったり、他の社員とコミュニケーションを取る機会を増やしたりと、個人だけでなく職場へのアプローチも行っています。
最大効率化のための推進体制作り
また当グループでは、最大効率化を目指した健康経営推進体制も構築してきました。
人事・総務部や健康保健組合など健康に関する部門代表による健康推進連絡協議会をはじめ、各カンパニーや労働組合などの組織代表が構成する健康推進委員会、社員代表の健康増進サポーター会議の3つの組織が経営層と共に健康増進を進めていくしくみです。
健康経営を永く継続していくためには、このように各部門から参加した社員の声を積極的に吸い上げていくことも必要不可欠です。
浅野さんへの質問
「プレゼンティーズム」は眼の不調にも関係することがありますか?
あります。眼精疲労に課題感を持つ人は、他の不定愁訴との併発の可能性があるためです。しかし、他の原因も考えられるため、実際に眼に負担の多い仕事をやらせているのかなど調査が必要です。
企業プロファイル
社名:株式会社フジクラ、本社:東京都江東区木場1-5-1、代表者:長浜洋一、創業:1885年(明治18年)2月、設立:1910年(明治48年)3月18日、従業員数:53,409名(連結2014年)
世界トップシェアを誇る光ファイバ融着接続器や電力ケーブルをはじめ、電子電装分野など電線以外にもグローバル市場で高く評価される株式会社フジクラ。
中期計画立案プロジェクトである「15中期」の策定過程で、“企業の競争力はそこで働く社員の良好な健康状態が基盤となる”という理念をベースに、社会に永く必要とされる企業であるためには社員の「健康」が重要との論議を経て、社員の健康への取り組みを進めていくことを決定しました。
2013年11月には、厚生労働省から「第2回 健康寿命をのばそう! アワード」の『厚生労働省健康局長 優良賞』を受賞。2014年1月には「フジクラグループ健康経営宣言」を公表しています。
この記事の掲載号:特別号
アイケア研究所とは
株式会社メガネスーパー(本社:東京都中央区日本橋、代表取締役社長:星﨑尚彦、以下メガネスーパー)は、 「眼の健康寿命を延ばす」を目的としたアイケアサービスの拡充を図るべく「アイケア研究所」を発足しました。
これは、核となるミドル・シニアを中心とした約600万人の顧客と、医療従事者、そして、多様な商品・サービスを提供する取引先をネットワークし、最先端アイケアの提供を目指すアイケアカンパニー・メガネスーパーの新しい取り組みのひとつです。
この「アイケア研究所レポート」では、毎月、注目度の高いテーマを取り上げ、みなさまに役立つアイケア情報をお伝えしていきたいと考えております。